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トレーダー・ディーラー・ブローカーの違い

トレーダー・ディーラー・ブローカーの違いf:id:tenshoku66:20230510213323j:image

トレーダーとは、セルサイドの証券会社やバイサイドの銀行や運用会社で他者から株式や債券などの有価証券の注文を受けて、取引を仲介するブローカーに発注する業務を行う役割を担う人のことです。自らの資金、自らの運用のために注文を出すのではなく、他者からの依頼を受けて、取引を行うというところが特徴です。

ディーラーとは、銀行や証券会社などの自己取引部門で自己資金を運用するために、売買注文を出して取引を行う役割を担う人のことを指します。

ブローカーとは、株式や債券などの有価証券を買いたい投資家と売りたい投資家をつないで取引を成立させる人・機関を意味し、株式や債券取引では通常は証券会社のことを意味します。

トレーダー:他者の注文の執行を担当
ディーラー:自己資金での取引を担当
ブローカー:投資家同士を仲介

トレーダーとは

トレーダー(Trader)とは、資産運用・投資においては有価証券の注文・取引に関する業務を担当する人を意味します。株式や債券などを運用するために購入する側、銀行や運用会社などの機関投資家等のバイサイドに所属するトレーダーと、株式や債券などの金融商品の販売側、証券会社等のセルサイドに所属するトレーダーがあり、両者は若干役割が異なります。自分の資金や自分の運用のための注文ではなく、他者からの依頼で取引を行うことが特徴です。

バイサイドのトレーダーの業務

銀行や資産運用会社に所属するバイサイドのトレーダーは、社内のファンドマネージャー等から売買注文の連絡を受けて、証券会社等のブローカーに発注を行います。ファンドマネージャー等と連携しながら、最良の執行条件での取引を目指すことが目標となります。

単にファンドマネージャー等からの注文を横流しすれば良いと言わけではなく、取引タイミング、市場への影響を考えながら、良い条件で注文を出す必要があります。また、巨額の資金を運用している場合は、自らの売買注文が相場を動かしてしまう場合があることに注意して発注しなければいけません。

セルサイドのトレーダーの業務

証券会社などのセルサイドのトレーダーは、社外の顧客から注文を受けた場合、取引所などに注文を出して市場での売買成立を目指します。債券取引の様に自社の在庫で対応する場合には、顧客の注文に対して販売条件を提示する役割を担う場合があります。アセマネ会社のファンドマネージャーの発注を最初に受ける相手が、社内トレーダー(バイサイド・トレーダー)です。
 ファンドマネージャーが、どの銘柄を何株(又は何ベーシス)売買するかを所定の発注票に入力し、社内のトレーダーに送付します。
そのアセマネ(バイサイド)のトレーダーが、証券会社(セルサイド)のトレーダーに対して、発注を執行します。株数や金額、発注方法を確認し、証券会社のトレーダーは取引所に発注を出します。f:id:tenshoku66:20230510213339j:image
アセマネのトレーダーは、ファンドマネージャーから指示を受けたら速やかに発注しますが、大きな注文の場合は、株価になるべくインパクトを与えないように株数を分割して発注します。日々の出来高の20~40%程度を上限としている場合が多いと思います。
ファンドマネージャーは、「決算が1週間後に出るので、それまでに買い切ってほしい」等の指示をする場合もあります。特に指示を出さずに、発注のタイミングはトレーダーに任せる場合もあります。
一方、証券会社のトレーダーは、バイサイドのトレーダーから受けた発注を、市場に流します。この際に、多くの場合、VWAP(出来高加重平均株価)をベンチマークとして、1日の値動きの中でVWAPより有利に売買するよう努めます。
バイサイド側は、VWAPより少しでも安く買えたり、高く売れたりすれば満足し、あまりに負の乖離が大きいと、証券会社のトレーダーに理由を追及したりします。

トレーダーに求められる役割

トレーダーに求められているのは、価格(可能な限り安く買うまたは高く売る)、手数料(可能な限り安い手数料で取引を成立させる)、時間(可能な限り素早く取引を完了させる、あるいは希望の時間に正確に成立させる)、確実性(誤発注等のミスをしない、注文を確実に執行する)です。

相場は時々刻々と変化していて、1日の間にも価格が高い時と安い時があります。VWAP(売買高で加重平均した価格)などと比較して、安い価格で買えたか、高い価格で売れたかどうかということでトレーダーは付加価値を付けることになります。

また、取引相手を選ぶ裁量がある場合には、手数料(コスト)が抑えられるように取引注文を工夫します。特に債券取引で重要になります。

社内のファンドマネージャーなどや社外の顧客の求めに応じてできる限り速やかに注文をミスなく確実に処理できるかということもトレーダーにとって重要な役割です。

ディーラーとは

ディーラー(Dealer)とは、一般的には販売業者や取扱業者という意味がありますが、資産運用・投資においては、銀行や証券会社などの自己運用部門などに所属して、自らの資金を自らの判断で株式や債券、外国為替などで運用するために売買を行う役割を担う人を指します。他者の資金ではなく、自己(自分の会社)の資金であるところがポイントです。

尚、ヘッジファンドの中には、日計りや数日での売買を収益の源泉とするタイプも多いですが、彼らがやっていることはファンドマネージャーというより、ディーラーと同じです。

ディーラーに求められる役割

ディーラーに求められることは、自己資金で株式や債券、外国為替などの取引を行い利益を上げることです。他者ではなく自己の資金を自己の判断で運用し、運用によってできる限り多い利益を得ることがディーラーの役割です。ディーラーが所属するディーリング部門の利益が会社の業績に大きな影響を与える場合もあります。

実際によく求人で募集しているのは、カスタマーディーラーやデリバティブディーラーです。
 カスタマーディーラーは、一般的に為替のセールス・トレーダーのことをいい、顧客からの注文を受けて流す仕事です。「3年以上の為替セールス」「3年以上のディーラー業務」などの応募要件がある場合があります。
 デリバティブディーラーは、オプションを使って収益をあげたり、顧客の資金フローの管理をする仕事で、これも経験者が求められることが多いです。

トレーダーとディーラーの違い

トレーダーとディーラーは似た意味を持っていて、同じ意味で用いられることがあります。ただし、トレーダーは、自分の資金を自ら運用するために注文を出すのではなく、他者(社内のファンドマネージャー、社外の顧客(機関投資家個人投資家))からの注文を受けて、注文を執行・仲介する役割を担います。

一方、ディーラーは、自らの資金を自ら運用するために注文を出す役割を担います。

ブローカーとは

ブローカー(Broker)とは、一般的には買い手と売り手の取引を仲介する人または機関のことを指し、資産運用・投資におけるブローカーとは、株式や債券などの有価証券を買いたい投資家と売りたい投資家をつないで取引を成立させる人や機関(通常は会社)を意味します。株式や債券取引の場合は、基本的にはブローカーといえば証券会社を意味します。外国為替取引においても通貨の買い手と売り手を仲介する人や機関をブローカーといいます。

ブローカーは自らが取引をして儲けるのではなく、投資家と投資家を仲介することによって得る手数料によって儲けることになります。そのため、たくさんの取引を成立させることを目指しますが、投資家からより多くの注文を受けることが重要になります。手数料や取引環境、信頼性などによって同業他社と競争を行うことになります。

トレーダーとディーラーとブローカーの違い

トレーダーは、有価証券などの注文・取引業務を担当する人、ディーラーは自己資金で有価証券の売買を担当する人、ブローカーは有価証券や通貨の取引において買い手と売り手をつなぎ取引を成立させる人または機関です。

トレーダー・ディーラー・ブローカーの違いをまとめると次のとおりになります。

トレーダー・ディーラー・ブローカーの違い

トレーダー 他者による注文を担当
ディーラー 自己資金の売買を担当
ブローカー 買い手と売り手を仲介

まとめ

・トレーダーとは、社内のファンドマネージャーや社外の顧客から株式や債券などの注文を受けて、売買を行う役割を担う人のことをいいます。
バイサイドのトレーダーとセルサイドのトレーダーでは役割が若干異なり、バイサイドのトレーダーは社内のファンドマネージャーの注文をブローカー(証券会社)に発注する役割を持ち、セルサイドのトレーダーは社外の顧客からの注文を取引所に出したり、相対取引をする場合には販売条件を提示したりします。

・ディーラーは、自己資金を自己の判断で運用し収益を上げる業務を担当する人です。ブローカーとは、有価証券や通貨の買い手と売り手の取引を仲介する人または機関を意味します。